True Love 2 プライド
真実ってなんだろう。
真実って単に「まこと」であればいいだけなのに、人は唯一のものだったり反証できないものを求めようとする。
批判する人は批判する人で、絶対のものなんかない、そんな美しいものなんかないと言い張るけど、その前提自体おかしくないか?
真実という言葉を口にする人は皆、どんどん口ばかり大きくなり必死になって、滑稽だ。
それでも真実なんかないと馬鹿にしている人より、必死になにかを信じようとしている人の方が、断然魅力的だと私は思う。
『True Love 2 -プライド』を観て、私は誰に関しても、おぞましいともクズともキチガイとも思わなかった。
自分を正当化したい気持ちは滲み出ていたけど、そのために他人を巻き込むことを彼らはしていない。
自分をよくみせるために他人を蹴落としたり、自分の欲求について誰かに責任をなすりつけたり、味方を作って媚びたりしない。
ただただ、自分に素直で自分の欲に苦しんでコントロールできなくて、足掻いている人たちだ。
そんな彼らがいう「真実の愛」があるのかないのか論じるのってなんかナンセンスじゃないかしら。
SEXが彼らの何かを埋めるのは事実だ。あんなに旦那さんを毛嫌いしていた女優だって、SEXをすると何かが埋まった。
愛人はこりごりだ、仕方なく付き合っていたという旦那が、それでも彼女を愛して何かを埋めていたのは事実だ。でも一方で奥さんのことをもうどうでもいいと思っていないのも事実だ。
彼らの心も身体も矛盾だらけだけど、それによって想いを否定すべきと大声で言えることの方が馬鹿馬鹿しく、嘘だ。
どんなに辻褄が合わなくても、突然好きになったら嫌いになったり、世界は泥臭く変わっていくのが真実じゃないか?
ペドロ・アルモドバル監督『トーク・トゥー・ハー』でも、極めて歪な生活や関係しかないのに、その中には 不思議なあたたかみと人間らしい愛情を確かに見る。
あれはフィクションだけど、これはそのふしぎな世界を現実世界から抽出した、とても面白い作品だと思う。