ドリーム(原題: Hidden Figures)

数学の才を持つ黒人女性達がNASAマーキュリー計画に参加して成功に導く話。

テーマの主軸にあるのは、当時のアメリカバージニア州で行われていたアパルトヘイトからの解放だが、それ以外にもソ連との宇宙開発の能力差や男女差などから発生する様々な「差別」が 蔓延していて、登場人物が皆『虐げる立場』にも『虐げられる立場』にもなる絶妙な構図となっている。

黒人は自分とは違うトイレを使いバスの席も隔離されていることになんの疑問持たない白人女性も、「オンナは単なる計算機であって重要な会議に出れる訳がない」と一蹴される憤りは理解できてしまう。

この理解できてしまう、ということ。周りからの理由なき侮蔑から解放されたい、何者かになりたい、そしてそうなる権利があることを証明したい気持ちで、彼らは性を超え人種を超え1つになれてしまう。

彼らが無自覚に違う差別をしてしまうことから素直に脱してとても美しいサクセスストーリーになったのは、彼らにそうしないと達成できない気高い目標があったからだ。裏を返せば、目標も目的も特に持たない市井の人々の中には、この現代まで依然として変わらない差別が横たわっている。

 

私たちの周りの謂れ無い侮蔑がなくならないのは、侮蔑をする側こそ無用でなんの価値もない人間だからかも、、と考えてしまいますね。