其ノ灯、暮ラシ

MOROHAのツアーライブと並行して、監督のエリザベス宮地がそれに負けない強度の映像を撮るべく、ファンの家に宿泊をお願いして歩き、その人々(あるときは自分の身内)の内情を尋ねていくドキュメンタリー。

正直、まだ内容を捉えていない感じなのである。皆、それぞれの人生と想いを持って生きている…のは、当たり前だなあと思ってしまう。

自分の人生とシンクロするということに飢えていないので、その点についてはそういうこともあるなとしか感想が浮かばない。では、監督は何を見せたかったのか?と思うのだが、映画に映る宮地さんの人生、身近な周囲の人生もごくごく1つの他人の人生として(あえて)画面に映してる気がして、心が入り込めないのだ。

MOROHA自体も「神」としてでなく、一人の人間として自身の気持ちを唄にしているのであって、ファンと交わっていかない。だからこの映画全体がずっと平行線な感じがする。いつまでも交わらない他人、好意、人生…。裏を返せばその人間のフラストレーションみたいなものはすごく迫ってくる。

だから正直、あるミュージシャンを追っているツアードキュメンタリーとしての落とし所はどこなの?と混乱した。

 

とは言っても、だからといって何も映ってないドキュメンタリーではないのだ。祖父から古いカメラを受け継ぐところや、元彼女に未練がましくセルフドキュメンタリーを見せるとことか、彼が何かをしたい、得たいという貪欲な気持ちは垣間見える。

でもやっぱりわからない。MOROHAが全然貪欲そうじゃないんだもの。宮地さんの目が全然優しい感じがしないんだもの。あえてなにかをわからないようかき消しているようにさえ、さらけ出していないようにさえ感じるのだ。

 

だからまだこの映画の真意がわからない。